2017-02-04から1日間の記事一覧

アゴタ・クリストフ「悪童日記」 ー 唯一無二の日記小説、なににも似ていない

小説は第二次世界大戦中のハンガリー、双子の子どもが母親に連れられて、会ったこともない祖母のもとに疎開してくるところからはじまる。読んでいるうちに明らかになるのだけど、小説はこの双子が書いた日記の体裁ですすむ。 2人はその日記に決まりを設けて…

アゴタ・クリストフ「文盲」 ー 物語的自伝というよりも小説

もし自分の国を離れなかったら、わたしの人生はどんな人生になっていたのだろうか。もっと辛い、もっと貧しい人生になっていただろうと思う。けれども、こんなに孤独ではなく、こんなに心引き裂かれることもなかっただろう。幸せでさえあったかもしれない。 …